読めばモヤモヤ解消!草津線が電車特定区間に加わらない理由2点+α

鉄道

こんばんは、金色スバルです!

「なぜ草津線は新たに大阪附近の電車特定区間に追加されなかったのかわからない…」と悩んでいる方必見です!

JR西日本の草津線が新たに電車特定区間内に組み込まれなかったのか知りたい人に向けて、運行形態と沿線概況の観点から納得するまで説明します。

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当記事では「蒸気機関車牽引列車時代の草津線」や「滋賀に多い天井川」、「区間別平均通過人員が2,000人/日未満の線区」についてもわかりやすく紹介しています。

そもそも草津線という路線は京阪神にお住まいの方には馴染みがあまりないです。

たぬきの置物で有名な信楽へは貴生川駅での乗り換えが必須で、優等列車が走りません。

草津駅では絶品の近江牛すき焼き弁当などの駅弁が売られているので、お弁当を購入して列車に乗れば、ささやかな旅行気分を味わうことができるかもしれないですね!

それでは、どうぞ!

草津線が電車特定区間に加わらないのは、大阪都市圏への通勤路線に含まれていないためです。

草津線は在来線の幹線で、三重県伊賀市柘植(つげ)駅から滋賀県草津市草津駅までを結んでいます。

草津線の特徴

①杣川、野洲川沿いの湖南地域を走る

②沿線は旧宿場町で、周囲に田畑が広がる

③相対的に平野部を走行する区間が多いが、三雲駅-貴生川駅間、甲賀駅-柘植駅間では森林地帯を走る

全線電化されていて線形が良く、駅間距離は長いです。全線単線で普通列車のみの運転にもかかわらず表定速度が速くなっています。

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では、草津線のダイヤがどのようにして組まれているのか追っていきます。  

草津線の路線距離は36.7kmで、軌間は狭軌です。

駅数は所属駅に限定した場合9駅となっています。柘植駅周辺を除く全区間が京滋支社の管轄です。

                                               

全線4両の普通列車のみで運転されます。

平日11-13時台は草津駅-柘植駅間で1時間間隔です。

平日8-10時・14・15時台と土休日は草津発貴生川行と草津発柘植行が1時間当り1本ずつ運行されます。

草津線沿線は大津市・京都市とのつながりが強いです。日中時間帯のダイヤについて説明を終えましたので朝夕の様子を観察します。

                                               

4両編成に加えて、6両編成や4両編成を2本つなげた8両編成、8両貫通編成が運用中です。京都駅を発着する列車や大阪方面に乗り入れる列車があります。

平日朝には柘植発網干行が1本のみあります。昨年3月のダイヤ改正までは大阪行でした。JR列車としては三重県から大阪府に乗り入れる唯一の列車です。

近鉄を含めると兵庫県へ直通する定期列車としては唯一の事例となっています。

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夕刻は京都発柘植行の電車が走行します。かつて夜間に大阪発柘植行の運用が存在したにもかかわらず2006年3月のダイヤ改正をもって廃止されたのです。

草津駅から京都駅までは各駅に停車する運用で、網干行は京都から西明石まで快速列車となります。

JR京都線内は長岡京、高槻、茨木、新大阪の順です。内側線のダイヤはパターン化されているので、一部の列車が外側線を走行することによって安定した運行を行うことができます。

朝ラッシュ時などは貨物列車の本数が少なく追い越しも行わないため、草津線の電車が外側線を走ることによって沿線にお住まいの皆様が利用しやすくなっているのです。

客車列車が多く走っていた時代は、多くが京都や鳥羽に乗り入れていました。のちに気動車・電車の登場でスピードアップしたのですが、線内折り返しが中心になりました。当時瀬田駅は通過扱いでした。1965年まで運行されていた姫路駅-鳥羽駅間の快速列車を格上げした「志摩」など気動車による急行列車がありました。ところが「京伊特急」が誕生して利用者が減少したため民営化前に全廃されたのです。急行列車は所属駅に限定した場合で貴生川のみを停車駅としていました。

先に述べた鳥羽方面に乗り入れる運用は廃止されたのですが、亀山方面への往来も大なり小なりあります。今度は輸送密度の話に移りましょう。

草津線は今年度中に全線開通から135年を迎える由緒ある路線です。

草津線は関西鉄道が開通した路線で、沿線には豊富な鉄道遺産が現在も残ります。

                                               

草津線沿いのトンネルやプラットホームなどは明治時代半ばからありました。

今回紹介する草津線沿線の鉄道遺産は大砂川トンネル国分橋梁の二つです。

大砂川トンネルは関西鉄道が三雲駅西側に設置した三つのトンネルのうち、唯一現存しています。場所は草津線と大砂川が交わる地点です。

大砂川トンネルは三雲から草津方面に向かう電車に2kmほど揺られたところにあります。

トンネルがあるのは川の下です。長さは14.5mで、材料は切石とレンガでできています。内部には煤が残されていて、遠くに向かう客車列車が多数走っていた時代が想起されるのです。

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滋賀県の天井川数は81河川です。滋賀県に天井川が集中している理由を見ていきましょう。

滋賀県に天井川が多いのは歴史的な背景のためです。

①室町時代になり、薪炭材や建材として山林の樹木が大量に伐採される

②山肌が露呈し、豪雨による山崩れで川へ土砂が流出した結果河床が高くなる

③堤防も高くなり、②が繰り返されることによって高さが一層引き上げられるために天井川が形成される

大砂川トンネルの近くには、大沙川隧道と呼ばれる道路トンネルもあります。大砂川隧道は地元では「吉永のマンボ」と呼ばれていて、「マンボ」とはラテン音楽ではなく天井川直下にあるトンネルのことです。1884年3月に滋賀県初の道路トンネルとして旧東海道筋につくられました。

大砂川隧道の上にあるのは高さ26m、幹囲6m、樹齢およそ750年の「弘法杉」と呼ばれる杉です。「元は2本あったが洪水で破堤して片方が倒れた」などさまざまな伝説が残されています。

国分橋梁は貴生川方面へ200m先の新道橋梁と同様に道路をまたぐ橋梁です。胸壁にレンガで関西鉄道の社紋があしらわれています。

貴生川駅-甲南駅間にある御庄野橋梁、新道橋梁、国分橋梁の3橋梁はそれぞれ異なるデザインです。

主な積み方はイギリス積みを採用しています。イギリス積みはフランス積みに比べ耐久性が高く、費やされるレンガの数が少ないため低価格です。

イギリス積みは小口のみを積んだ段と長手のみを積んだ段を交互に積み上げています。

新道橋梁の上部にされているのは「ヘリンボーン」の装飾です。装飾の上下境界部には装飾帯があります。

                                               

三重県と滋賀県の県境付近はゴルフ場が多いです。

新名神高速道路や名阪国道を使えば京阪神大都市圏や名古屋都市圏から容易に辿り着くことが出来ます。忍者のテーマパークが多くみられる甲賀市は焼き物も有名で、お土産の購入に最適です。信楽へは貴生川駅で信楽高原鉄道に乗り換えて向かい、陶芸体験を行うことができます。

草津伊賀線が右手に見えてから少し経つと東側にあるのは塩野義製薬の油日研究センターです。

草津線は通勤・通学などにとどまらず、観光資源の機能を併せ持っています。しかしながら、人口減やモータリゼーションの進行などで利便性が低下中です。

貴生川駅-草津駅間の輸送密度は2023年現在、16,122人/日を記録しています。もう片方の輸送密度は2,250人/日です。輸送密度はJR京都線や琵琶湖線(米原駅-京都駅間)などの近隣線区と比べてはるかに低くなっています。

輸送密度とは、ご利用されるお客様の1日における1kmあたりの人数です。以下に京阪神エリアの輸送密度2,000人/日未満の線区事例を示します。

加古川線(西脇市駅-谷川駅間)の17.3km

姫新線(播磨新宮駅-上月駅間)の28.8km

輸送密度が2,000人/日を下回る路線についてさらに関心を高めたいと思った方は、次のポストをクリックしてみましょう!

沿線の宅地化は進行していて、京都市や大津市への通勤・通学に便利です。比較的地価が安く、草津駅-貴生川駅間の沿線人口が増加しています。沿線には多数のコミュニティバスが運行中です。

近江鉄道や京阪大津線と並行していないため価格競争に巻き込まれる心配はありません。利便性が上がれば利用客の増加はあり得るのです。現時点では、甲西駅での行き違い設備整備や手原駅-石部駅間などでの新駅設置、複線化などの計画があります。3件の計画はいずれも具現化していないことが現状です。

> まとめ

今回は運行形態と沿線の歴史から新たに草津線が電車特定区間に指定されなかったわけを解説しました。

最後に、記事の内容をおさらいしておきましょう。

草津線が電車特定区間の新規対象路線に含まれなかった理由

大阪市との流動が少ない

競合する並行私鉄がない

今後甲西駅への行き違い設備導入など何らかのテコ入れ策が行われる可能性あり

兵庫県南部地震の迂回路として活躍した播但線も草津線と同じく将来京阪神地区の電車特定区間として追加される可能性が高いです。

電車特定区間」と「特定区間」の相違点について、「電車特定区間」では幹線よりも割安な賃率で運賃が算出されます。一方の「特定区間」とは距離の異なる複数経路で双方の経路にも合理性がある区間で、最短経路で列車賃を算出して両経路を利用してもよいと定めた区間のことです。

開業からまもなく135周年を迎える草津線には、現在運用されている車両と100歳差がある橋梁もあるので沿線の近代化遺産群を心ゆくまでご堪能下さい!

本日はご清覧いただきありがとうございました。

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