【2024年版】分かりやすい!京都丹後鉄道の約6割が電化されている理由を徹底解説

鉄道

こんばんは、金色スバルです!

「京都丹後鉄道(以下、「丹鉄」と総称する。)の6割がなぜ電化されているのか?」など丹鉄に興味がある方、ご利用の方必見です!

今回の記事では、丹鉄を知らない方、京都府北部「海の京都」を訪れたことがない方向けになぜ路線延長の6割が電化されているかから丹鉄車の「まいづる」運用があるのはなぜかまで解説します。

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些細なことから丹鉄を知り関心を深めたい!京都府北部への旅行で丹鉄に乗りたい!そんな方も多いと思います。

今回の記事は丹鉄の約6割が電化されている理由や丹鉄車による「まいづる」運用、丹鉄車両の検査まで詳しく解説していきます。

京都府北部への移動をお考えになる方は、ぜひ小耳に挟んでおいてくださいね!

それでは、どうぞ!

丹鉄が保有する路線の約6割が電化されているのは、京阪神エリアから特急を直通させ観光需要拡大で地域を活性化することを狙ったためです。

JR西日本は、福知山線の宝塚駅-福知山駅間や山陰本線の京都駅園部駅間の電化が進展してスピードアップや平行する舞鶴若狭自動車道・京都縦貫自動車道との競合のために電車特急の増発が必要であると考えました。非電化開業した北近畿タンゴ鉄道宮福線の電化を検討するにあたり、最高速度を130km/hにする必要があるため鉄道整備資金の適用条件とする試算が行われました。抜擢されたのは既に引退した485系です。結果的に、将来の速度向上を見据えて適用を受け改良工事が行われ、1996年3月16日に電化開業を迎えました。485系を用いた試算では、実際の最高速度は120km/hでしたが、電化開業前の試運転では681系によってれっきとした130km/hの達成を果たせたのです。

宮福線の電化と同時に宮津線の宮津駅-天橋立駅間4.4kmも直流電化されました。京都駅-天橋立駅間で特急「はしだて」が設定され、当時は183系やKTR8000形による4往復の運行でした。「はしだて」の他にも「きのさき」や「たんば」などの特急が設定されて北近畿ビッグXネットワークが構成されました。

北近畿ビッグXネットワークは、福知山駅を中心に山陰本線が丹鉄宮福線・福知山線と交差している様子を上空からみたときの地図が「X」の文字の形に見えることから名付けられました。かつて主力だった183系電車の先頭車乗務員室寄りの側面にはステッカーが貼られていて、普通車のシートカバーにもロゴが貼られていたのです。2011年3月12日のダイヤ改正により、タンゴディスカバリーの編入に加え小さな変化も見られました。新しく287系特急電車が投入されたのです。同年4月2日-4月7日は東日本大震災の影響による部品不足により、183系で運転されていたすべての特急列車が4両編成で運転されました。翌年、287系が南紀方面の特急「くろしお」にも投入され、玉突きによって381系は転用され、183系はすべて退役したのです。ステッカーを貼った車両は完全に見納めとなりました。2015年には、北陸新幹線の金沢延伸により余剰になった683系を直流化した289系が導入され、381系をすべて置き換えました。現在、289系は宮福線には乗り入れず、「はしだて」、「まいづる」を除くすべての列車種別の運用です。

周辺路線の電化の進行や並行する高速道路上を走る高速バスとの対抗戦によって、JR西日本ははしだて号、丹鉄はたんごリレー号を設定し今もしのぎを削っています。

丹鉄が自前の電車を持たない理由は、電車を保有すると宮福線と宮津駅-天橋立駅間でしか運用できず、非電化区間の西舞鶴に整備基地があることによるメンテナンス上の問題が存在するからです。

丹鉄は、全35両のディーゼル車両を保有しています。内17両が特急車両でKTR001形3両(タンゴ・エクスプローラー、1編成3両のみ)、KTR8000形10両(丹後の海、1編成2両×5編成)、昨年3月にJR東海から転入したKTR8500形4両(1編成2両×2編成)の3つの車種です。普通車両は内12両が宮津線用、6両が宮福線用となっています。宮福線は京阪神エリアへの移動を確保するため、昼間時間帯は特急・快速・普通列車のいずれかを毎時1本ずつ運行するダイヤです。宮津線は地域輸送が中心で、宮舞線(宮津駅-西舞鶴駅間)は1時間に1-2本の普通列車、宮豊線(宮津駅-豊岡駅間)は1時間に1本ずつ宮福線からの特急と普通列車が運行されています。丹鉄は宮福線が山陰本線、福知山線と福知山駅で接続しており、宮津線は豊岡駅で山陰本線、西舞鶴駅で舞鶴線とつながっています。宮津駅では特急「はしだて」、「たんごリレー」、舞鶴駅では特急「まいづる」と接続しているのです。夕日ヶ浦木津温泉駅以遠では豊岡駅で「きのさき」などの各種特急とも接続しています。宮福線では京都方面からの特急「きのさき」と大阪方面からの特急「こうのとり」に接続するために、特急「たんごリレー」が1日5本(下り3本、上り2本)設定されています。

1982年に設立された宮福鉄道(北近畿タンゴ鉄道の前身)が1988年度、宮福線用にMF100形と200形を導入しました。1990年度、JR西日本宮津線継承のためKTR700・800形が登場したのです。1990年度と1992年度にはKTR001形「タンゴ・エクスプローラー」が同社のフラッグシップトレインとしてデビューしました。1995年度、宮福線の電化に合わせて登場した特急車両がKTR8000形「タンゴ・ディスカバリー」です。KTR8000形は並行して国鉄清算事業団とJR西日本から承継された元キハ28・58形気動車のKTR1000・2000形「レインボーリゾート」を置き換えました。2013年度には、登場から20年経過したKTR702とKTR708が水戸岡鋭治先生の手により「あかまつ」、「あおまつ」に生まれ変わりました。上下分離方式への移行が決定した次年度5月には、KTR707も「くろまつ」に改造されました。観光列車が登場し、併結する「コミューター車両」もKTR706、KTR803を改装して運用を開始したのです。2015年度にはタンゴ・ディスカバリーも登場から20年を迎え概ね2年かけて「丹後の海」に改造されました。時を同じくして既に定期運用を終えたタンゴ・エクスプローラーの稼働率は年々低下しているのです。2018年度、老朽化した車両を置き換えるためKTR300形が宮福線に投入されました。KTR300形は次第に数を増やし、3年がかりでMF102(現海の京都トレイン)を除くMF100・200形をすべて置き換えました。2022年度には、老朽化したKTR001編成「タンゴ・エクスプローラー」が廃車・解体され、JR東海からのキハ85形転入が発表されました。キハ85形は部品取り車両も含め1編成2両×2編成が譲渡されました。

丹鉄は京阪神方面へのアクセスと沿線の地域輸送を両立するために、JR西日本と連携し車両を走らせているのです。線路など施設や設備は北近畿タンゴ鉄道が所有し、電化設備を含む整備などの費用も負担しています。通勤・通学のみならず宮津線は丹後エリア内または但馬-丹後間の観光、宮福線は京阪神から丹後地方への玄関口としての役割も担っているのです。

丹鉄車の「まいづる」運用がある理由は、JR西日本との車両使用料を相殺するためです。

丹鉄はJR西日本と特急列車の相互乗り入れを行っています。丹鉄線内でJR車が運行されたのであれば、丹鉄はJR車を使用して自社列車を運転していることになるのです。 換言すれば、他社から借りた車両で自社列車を運転していることになります。丹鉄がJRの車両借りたときに発生する借り賃が車両使用料です。相互乗り入れの場合、逆パターンも発生します。 JR線内で丹鉄車が運行されたのであれば、JRは丹鉄車を使用して自社列車を運転していることになるので、JRは丹鉄に車両使用料を支払う義務が生じるのです。車両使用料の精算方法は、2社間で取り決められています。最もよく見られるパターンは、差し引きゼロの形で相殺する事例です。実現するためには 車両使用料を相殺できるダイヤが理想的となっています。貸し借りを相殺することでいちいち相手にカネを払う手間が省けるのです。

丹鉄線内で何らかのトラブルがあり、「丹後の海」車両が丹鉄線内に入線不可となった事態も考えます。「丹後の海」車両が山陰本線に入線して豊岡駅まで行った場合本来の編成の向きが反対になるのです。



京都丹後鉄道宮津線 – 配線略図.net(https://www.haisenryakuzu.net/documents/pr/kyoto-tango/miyazu/)より引用

宮津駅の配線の造りは宮福線方面から列車が進入してきた場合、豊岡方の先頭車が西舞鶴側を向いて停車する方式となっています。豊岡駅方面に向かうためには京都方の先頭車が豊岡方向を向いており、京都方の先頭車を前方、豊岡方の先頭車を後方として目的地に向かう必要があるからです。列車の進行方向を逆転させて目的地に向かう方式は「スイッチバック」と呼ばれています。スイッチバックには4種の形態が存在し、各々通過不可能型、通過可能型、折り返し型、終着駅型と呼称されています。通過不可能形は勾配に伴って建設されるもので、本線上で列車の進行方向を反転させる方式です。通過可能形は勾配上にある本線から折り返し線が延ばされていて、折り返し線上に駅が存在する形態となっています。残る折り返し型は単なる折り返し設備で終着駅型は路線の最高・最低地点に駅を建設する目的で折り返し設備を設置したものです。宮津駅の場合周囲は平地となっており、山を登る目的ではないため平地型に分類されます。

丹鉄はJR西日本との間で取り決められた車両使用料の相殺のため、丹鉄車による「まいづる」運用が存在します。丹鉄線内で事故などのトラブルが発生した場合は、福知山駅で運転を休止して編成が逆方向を向かない状態にしているのです。

紹介した理由について周知して頂きますと、京都府北部への移動時に皆様が気付き難いことに関しても興味が湧くはずです!

最後に、今回の内容をおさらいしましょう。

丹鉄の概ね6割が電化されている理由3つ

周辺路線の電化の進行

高速バスとの競合

地域活性化のための観光需要拡大

丹鉄が電車車両を持たない理由3つ

沿線の地域輸送と対京阪神間輸送の両立

電車を保有することによる運行範囲の限定

非電化区間に整備基地があること

補足になりますが、車両基地は荒河かしの木台駅横にある福知山運転所と先述の西舞鶴運転所の2ヶ所にあり、普通車両の検査は福知山運転所で行われているのです。特急車両の方は遠く離れた鳥取県米子市の後藤総合車両所で行われています。特急車両の検査が後藤総合車両所で行われているのですから、JR東海色の帯をまとった車両が初めて鳥取県に姿を見せるかもしれませんね!

「京都」と聞くと京都市周辺をイメージされる方が多いですが、JR特急に乗ってもうひとつの「京都」を訪問してみてはいかがでしょうか?

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